ものづくり現場の課題解決に
ともに挑むパートナーとして

株式会社デザインネットワーク 連携事例

少子高齢化による人手不足や技術の伝承問題、災害や感染症の影響によるサプライチェーンの分断など、いま日本の製造業はさまざまな課題と向き合いながら、国際競争力の向上に挑んでいます。クルマや電子機器から生活用品まで、多様なメーカー企業さまの抱える課題に対して、化学品商社である三木産業と技術者集団・デザインネットワークが連携し、化学と技術の両面から解決策をご提示していきます。

樹脂成型品の保護フィルムを
「はがす」作業を自動化できないか?

国内の樹脂加工メーカー様では、長年課題を抱えていました。加工の材料となる成型品には保護フィルムが貼ってありますが、これを「はがす」工程を人の手で担っていたのです。曲面の薄いフィルムを成型品に傷をつけることなくはがすことは、機械では難しいとされていました。
三木産業は成型品の材料を提供する商社として、このお客さまのご相談にお応えしていました。本来なら材料や素材の改良で課題解決を図るのが化学品商社の仕事ですが、発想を転換し、技術による解決をめざすことにしたのです。そこで連携したのが、技術者集団・デザインネットワークでした。

本件の技術担当となったデザインネットワークの阿川さんは、まず現状のヒアリングから始めました。 「これまでは、フィルムにテープを貼り付けてはがす方法を取っていたといいます。しかし今回はまったく別の方法、つまりエアーを使って間に空気を入れてはがす方法を発想しました」。
ヒアリング後、阿川さんたちは1-2か月をかけて、社内の技術者たちとアイデアを出し合いながら、3Dプリンターで『原理試作』を繰り返しました。そして「これならいける!」という答えが出たところで、提案に踏み切ります。そしてお客さまの合意をもとに開発した「フィルムはがし機」は大成功。長年の課題が解決したと、大変喜んでいただきました。

「フィルムはがし機」とその開発を担当した阿川さん。卓上型の製品としたことで次工程の作業とセットで作業でき、製造工程の改善につながりました。

国家プロジェクトでも生かされる
高い技術力と発想力。

もともと、大手自動車メーカーの技術部門にルーツを持つデザインネットワークは、ものづくりの全工程、企画・開発から設計・製造そしてフィールドサービスに至るまでに必要とされるソリューションを提供する技術者集団です。

阿川さんと同じ受託設計グループで、多品種・小ロットの半導体製造装置(ミニマルファブ)の開発に携わる駄竹さんはこう話してくれました。
「国立研究開発法人 産業技術総合研究所のプロジェクトが母体となったコンソーシアムで、研究・試作用の半導体製造装置の自動化を担当しました。ハード・ソフト開発の両面を当社で担っています」。
半導体は、いま国を挙げて注力されている産業分野で、デザインネットワークでは自動車に次いで2番目の取引実績を誇ります。グッドデザイン賞も受賞したという最先端の取り組みが、その高い技術力を裏付けています。

受託設計グループの駄竹さん。主にソフト開発を担う技術者として、ミニマルファブ推進機構の技術開発に携わっています。

現場から生まれたアイデアで新しい価値を生み、日本のものづくりを変えていく。

三木産業との連携で、様々な案件の相談に応じる常務取締役の礒さんは、こう話します。
「私たちは技術者が9割の会社で、メーカーさまから日々さまざまな相談が寄せられます。製造元が対応できなくなってしまったパイプ加工機のリニューアル、補助金を活用した商品工場の省人化、そして文具メーカーさんから新しい筆記具のアイデアなど。私も技術者ですが、どんな課題でもやはり困りごとの本質を追求することが大切だと考えています」。

本質から導き出される「アイデア」、それを具現化して製品化することで、新たな価値が生まれます。化学品のプロである三木産業と技術者集団のデザインネットワークが互いの強みを生かして連携すれば、お客さまに必ず優れた価値を提供できると、礒さんは力強く語ってくれました。さらにはアイデアのコアとなる技術を応用した独自製品の開発も、将来的なスコープに入ってきます。

礒さんは、「できないことはない」を信条に、お客さまの課題解決と新たな価値創造を目指しています。

化学と技術、補完しあうパートナーシップでお客さまに応える。

三木産業でお客さまとの窓口を担う宮本は「三木産業は長い歴史の中で、数千社ものお取引先さまがあります。そのほとんどが製造業であり、お付き合いが長いお客さまも数多くあります」と話します。
こうした信頼関係のもとに、機密事項の多いメーカーの製造現場に直接入って課題を相談いただけることは、技術提案における大きなアドバンテージになるのです。

アイデアの源泉は製造現場にあります。優れたアイデアとそれを形にできる力が、これからの日本の産業を支える大きな原動力になっていくはずです。

三木産業ではデザインネットワークとの連携により、化学と技術、2つのアプローチからお客さまへの提案活動に取り組んでいます。